由規「ただ野球がしたい」楽天と育成契約までの60日を独白
「簡単な決断ではありませんでした」
これまでの出来事が頭の中で走馬灯のように駆け巡ったのだろう。ゆっくり息を吸い込んだ由規(28)は、真っすぐ前を向き、話し始めた。2007年ドラフト1位でヤクルト入団。10年には当時の日本人最速となる161キロをマークした快速右腕は今年、11年間在籍したヤクルトを退団した。球団からは引退を打診されたが、現役続行の意志は固かった。28日に楽天と育成契約を結んだ由規に話を聞いた。
■「やれるだけやっただろうとは、どうしても思えなかった」
――現役続行を決断した経緯を教えてください。
「現役を続けたいといっても、今年6月の楽天戦以降、実戦で投げていない状態です。そこは不安でした。今年はここ数年より手応えがある中でシーズンに入ることができた。6月以降、ここまでになるとは思わなかったです。ただ、13年に右肩を手術してリハビリをしていたとき、もしかして投げられないかもしれないと思った時期があった中でも、なんとか投げることができました。そう考えると、少しでも望みがあるなら、それにかけたい、と。引退という文字は頭には浮かばなかった。やれるだけやっただろうとは、どうしても思えなかった。ただ野球がしたい気持ちしかありませんでした」