由規「ただ野球がしたい」楽天と育成契約までの60日を独白
――あらためてヤクルトへの思いは? 引退後はポストやセレモニーを用意するという話もあった。
「ありがたいお話をいただきましたし、ヤクルトには11年もの長い間、お世話になり、愛着もあります。11年後半に右肩を痛めたことをきっかけに、一軍復帰するまで5年も面倒を見てもらった。僕には大した実績なんてないですけど、ファンはずっと応援してくれて、一度も悪口を言われたことはありません。10月2日の退団会見では、ヤクルトを出ていかなきゃいけなくなった、クビになったんだって実感しました。自分が言うのもなんですけど、野球をやりたい気持ちとヤクルトを離れるつらさが入り混じって、泣いてしまったんですけどね……」
――病院に通うなど地道にリハビリを続ける中、楽天から育成契約のオファーが届いた。
「うれしいというより、ホッとしました。石井一久GMから『メディカルチェックを受けて、リハビリすればちゃんと投げられると医師が判断してくれたから、リハビリをしてしっかり治して、まず最初は育成になるけど、ウチで契約します』と電話をいただいて、『ぜひよろしくお願いします』と伝えました。次が決まるまでの空白の期間、いろんな人から電話がかかってきました。知らない番号からかかってくるたびに、もしかしてどこかのオファーかなと、ドキドキしました。中には単なる間違い電話だったこともあったりして(苦笑い)。とにかく怖くて、ひとときも携帯を手放せない。そんな中で楽天からオファーが来た。地元の球団ですし、すぐに決めました」