森永卓郎「書かれている企業は本当にブラックか」
おそらく著者は、楽しめる仕事の範囲が狭いのだと思う。つまり、企業がブラックかどうかというのは、本人の適性に大きく依存するということなのだろう。
その意味で、著者が最終的に適性のあるフリーライターの仕事にたどり着いたことは、とても幸運なことだ。ただ、私の心配は、著者の才能が高いがために、今後ライターの仕事が増えていって、追い詰められてしまうのではないかということだ。フリーでやっていると、仕事を断れない。断ると次の仕事が来なくなるからだ。しかし、一度引き受けたら、「親が死んでも締め切り厳守」が鉄の掟だ。私自身も、ライターの仕事で、何度も徹夜を経験した。著者の次回作が、「フリーライター残酷物語」にならないことを、祈りたい。
■オススメ本5冊
「早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした」小林拓矢著(講談社)
「東大教授」沖大幹著(新潮新書)
「星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント」中沢康彦著(日経BP社)
「素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠に」ワッキー貝山・池田浩明著(双葉社)