森永卓郎「書かれている企業は本当にブラックか」

公開日: 更新日:

■「早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした」小林拓矢著

 この数年間で、ブラック企業という言葉が、すっかり社会に定着した。ところが、何となくイメージはあるものの、ブラック企業でどんなことが行われているのかを知ることは、むずかしかった。

 本書は、早稲田大学を卒業した著者が、就職した「ブラック企業」3社での採用から、就業、退職に至るまでの経験を詳細に告白した一種の暴露本だ。

 最初に指摘しておきたいのは、著者には文才があるということだ。だから、あれこれひっかからずに、すっと読めてしまう。ただ、ここに描かれている企業が本当にブラック企業なのかなというのが、正直な私の感想だった。

 確かに2社目のFXの会社は、正真正銘のブラック企業だ。しかし、残りの2社は、それほどひどいとは、思わなかった。私自身、これまでもっとひどい職場環境でずっと働いてきたからだ。毎日、終電がなくなっても働き続ける暮らしを何年もしてきたし、あまりのストレスで十二指腸潰瘍を患ったことも、複数回ある。ただ、それで会社を恨んだことはなかった。仕事そのものを楽しんでいたからだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  5. 5

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  1. 6

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  2. 7

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  3. 8

    芳根京子《昭和新婚ラブコメ》はトップクラスの高評価!「話題性」「考察」なしの“スローなドラマ”が人気の背景

  4. 9

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 10

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ