「ギケイキ」町田康著
鞍馬寺から出奔して元服した九郎義経は、太公望が著した兵法書「六韜(りくとう)」を鬼一法眼という僧がもっていることを知り、色仕掛けでその娘をだまして、その書を書写する。
五条天神で刀狩りをしていた悪僧の弁慶に遭遇した義経は、「六韜」で習得した技を使って瞬間移動したり、地上1メートルの位置で停止したりして弁慶を打ち負かす。再び出会ってまた翻弄された弁慶は「あの人が行ってしまったこと自体が、すごく悲しいし、寂しい。なにこれ?もしかして、恋?」とつぶやく。それを耳にした義経は「あいつ、使えるかも」。
アニメのヒーローのように自由奔放な義経を描く痛快時代小説。(河出書房新社 1600円+税)