「曙光を旅する」葉室麟著
著者は地方紙の記者をしていた頃から、戦後史を知るためには沖縄に行かなければならないと思っていた。
平成28年7月、東村でヘリパッド建設工事の再開反対の抗議行動が行われようとしたとき、沖縄を訪れ、琉球新報の高嶺朝一前社長から話を聞いた。高嶺氏は昭和45年に米軍車両などが焼き打ちされるコザ暴動が起きて以来、沖縄の激動を目のあたりにしてきた。沖縄が求めているのは個人の尊厳や人権の尊重、自己決定権などで、それはアメリカの独立宣言でうたわれているものと同じである。そして、日本政府も明治12年の琉球処分以来、沖縄に対して同じことを繰り返している。
葉室麟がこれまでの人生で通り過ぎてきた場所を語るエッセー。
(朝日新聞出版 1500円+税)