「サルタヒコのゆくえ」戸矢学著
「猿田彦(サルタヒコ)」とは、「古事記」や「日本書紀」で天孫ニニギが天下りしたとき、道案内をしたとされている国つ神である。「猿田彦」の正しい読みは「さたひこ」であり、佐太大神(さたのおおかみ)を祭神とする出雲の佐太神社に祭られている。
「日本書紀」によると、サルタヒコは身長2メートル以上で、鼻の長さは126センチ。天狗伝説はこの記述から生まれた。サルタヒコは渡来の海人族の王のような存在であったので、天下ったニニギに不本意な「国譲り」をさせられ、一族がニニギに帰依した後、サルタヒコに待っていたのは「死」であった。
天狗伝承のもととなったサルタヒコとは何者であったかを探る。 (河出書房新社 2167円)