「パリ、ただよう花」ロウ・イエ監督
日活ロマンポルノなど、どこかピンク映画を彷彿させる作品だ。
「天安門、恋人たち」(2006年)での性描写を問題視され、中国当局から5年間の映画製作禁止処分とされたロウ・イエ監督(48)の「パリ、ただよう花」。美しいインテリ女教師が滞在先のパリで肉欲に溺れ、理性と本能のはざまで揺れる。
――女性の性、業を真正面からリアルに描き、「のめり込むと同時に、目をそらしたくなる」などと言われていますね。
「きちんとした恋人がいながら、複数の男と関係し、隠そうともしないのですから、見たくない、受け入れがたいというのも、正常な反応だと思います。今作は『裸』というリウ・ジエ(中国の女流監督)の自伝的小説が原作なのですけれども、彼女は登場人物たちを丸裸にして、素のまま放置するように書いています。それが魅力ですし、セックスは人間にとって自然で、自由で、人生に欠くことの出来ないもの。今という時代、そこに生きる人間を描く上でも男女の絡みは避けられないと思ったんです」
――ヒロイン、花(コリーヌ・ヤン)の恋人は、日本でいうと草食系だと思うが、それでは女が浮気するのは自然だと。