ゴースト作曲家 新垣氏が18年間表に出られなかった理由
「佐村河内さんが世間を欺いて曲を発表していることを知りながら、指示されるがまま、曲を書き続けた私は、佐村河内さんの『共犯者』です」
6日、18年間ゴーストライターをやってきた桐朋学園大音楽学部非常勤講師の新垣隆氏が、都内で謝罪会見を行った。
約1時間半にわたり、記者からの40以上の質問に答えた。新垣氏は、手は下に置いたまま姿勢を崩すこともない。時折うなずくだけで感情を見せることはなく、「大丈夫か」(マスコミ関係者)と心配になるほど追い込まれているように見えた。一体どんな人物なのか。
新垣氏は、同大音楽学部作曲科を卒業。現代音楽の分野では有名人で、作品を発表したり、市民オーケストラの指導を行っていたという。実際、あれだけの作品を作っているわけだし、ゴーストにこだわる必要はなかったのではないか。
■現代音楽界では潰される!
「クラシックジャーナル」編集長の中川右介氏がこう言う。
「現代音楽は、やっている人が1000人程度しかいない。一般のファンはほとんどいません。才能うんぬんの前に、一般性がなく評価はされない分野です。芸術性は高いですが、お金にならない。多くはもともと金持ちで、昔からピアノを習い作曲家を目指したタイプ。趣味の範囲でやっています。一方で、新垣氏のように名前を伏せて楽曲提供する人は少なくありません。テクニックがあれば歌謡曲や演歌もこなせますからね。ただ、閉鎖的な世界だから仲間内で潰し合うのはしばしば。名前を出して“売れる音楽”を作れば、商業主義に走ったと、現代音楽の世界に戻れなくなる。佐村河内氏が『表に出られない理由がある』と話したのも、ある意味、間違ってはいない。新垣さんもお金になる仕事としてやってたのでしょう。これからは、開き直ってやっていくしかありません」
新垣氏は会見で、「(報酬は)20曲以上提供し、700万円」「印税に関しては私はまったく関係ない」「著作権は放棄したい」と語っていた。