しずる村上もデビュー 「小説家芸人」急増のウラに出版不況
■出版社の点数ノルマも一因
本を出すことで箔をつけたい事情は分かる。とはいえ、自費出版ではなく、そんなに簡単に本を出版することができるのか。そこには、「出版社の切実な事情もある」(出版関係者)という。
「書籍編集者にとって、大物作家や売れっ子小説家を引っ張ってくるという目標はもちろんありますが、出版点数を稼ぐのもノルマのひとつ。『1年に何冊以上』と定められている出版社も少なくありません。連載やコラムで掲載されていないような書き下ろしのものになると、イチからお願いすることになりますが、もともと自社の出版社が出している雑誌での連載なら、書籍化はスムーズ。特に芸人さんはオファーを受けてくれる方も多いし、芸人サイドからの売り込みもあるので、担当編集者にとってもありがたい存在なんです」
手っ取り早いノルマ稼ぎという一面もあるようだが、「粗製乱造」という声は否定できないはず。
お笑い芸人は「猫も杓子も小説家時代」が到来――。小説家の値打ちも安くなったものだが、薄っぺらい本が世の中にあふれれば、悪貨が良貨を駆逐するのも必然。なるほど、読む本がないのでは活字離れが進むわけだ。