みうらじゅん 12年後に真相を公表した「ゴジラ人形盗難事件」
<1979年8月>
日本を代表する特撮映画といえば、東宝のゴジラシリーズ。国内では28作が製作された他、現在はハリウッドリメーク版の「GODZILLA ゴジラ」も公開中だ。
79年8月、この年は新作ゴジラ映画の公開はなかったが、SF映画ブーム到来を受けて、東宝は過去のシリーズを一挙上映する“ゴジラ映画大全集”を企画した。会場は有楽町日劇(現有楽町マリオン)。入り口には宣伝用に全長2メートルほどのゴジラ人形が2体置かれていた。ゴジラはソフトビニール製で、体内には液体ゴムが流し込まれ、大人の背丈ほどの箱に針金で固定されていた。
しかし、その大きなゴジラ人形が忽然と姿を消すという仰天事件が発生する。新聞には“ゴジラ盗まれる”の見出しが躍り、ワイドショーでも大々的に取り上げられる騒ぎに。もっとも、日劇の支配人はテレビで「ゴジラが大好きなファンでしょうし、年齢も未成年だろうということで今回は警察には言ってないんですよ」と寛大なコメントを出した。
ことの真相が明らかになったのは12年後の91年のこと。イラストレーターのみうらじゅん(当時33)が雑誌に「ゴジラの運搬」と題する記事を掲載。そこには日劇前からゴジラを“運んだ”経緯が細かく書かれていた。