ガラパゴス化脱却へ 「日本映画」今年のカンヌの“収穫高”は?
第68回カンヌ国際映画祭は日本時間の25日未明、最高賞パルムドールにジャック・オーディアール監督の「ディーパン」(仏)を選び、閉幕した。
期待された是枝裕和監督の「海街diary」は無冠に終わり、寂しい結果となったが、今年は日本からも有名どころの俳優陣がゾクゾクと現地入り。レッドカーペットを闊歩する様子が伝えられた。
ハリウッド俳優ならまだしも、これだけ多くの日本人俳優が国際映画祭に参加するのは「非常に珍しい」(映画関係者)という。
では、日本映画で収穫はあったのか。2人の専門家は揃って「ある視点」部門で監督賞を受賞した「岸辺の旅」の黒沢清監督を評価する。
「『ある視点』は『パルムドール』に次ぐ権威あるコンペ。パルムドールが王道なら、ある視点は個性や斬新さが求められる。もともと国際的に評価の高い黒沢監督ですが、今回の受賞は一流の監督としてさらに箔を付ける格好になった」(映画批評家の前田有一氏)
「08年に『トウキョウソナタ』で同部門の審査員賞を受賞しており、順当な結果といえる。夫婦愛や人間愛といった普遍的なテーマを監督独自の世界観で芸術性をもって表現したことが評価につながったのだろう」(映画ジャーナリストの大高宏雄氏)