松井誠を支えた大女優・山田五十鈴との濃密な“親子関係”
共演が実現したのは98年の帝国劇場の舞台「花のうさぎ屋」です。役柄は母上の鶴の一声で決まり、義理のお母さんと息子です。京唄子さん、富司純子さんといった大先輩がいる中、主役級で出演しました。
その時、母上がどういう人かわかりました。まず人の芝居を常にご覧になる。どんな演技をする人なのか、稽古の間はどういう態度かを見る。ご自分の作品を大事にされているから、きっちりチェックするんですね。私といえばずっと楽屋に呼ばれ、いろんな話をしていただきました。
その帝劇公演の中日くらいのこと。母上には芸能界の養子会というのがあって市村正親さん、西郷輝彦さん、十朱幸代さん、萬田久子さんとかそうそうたる方々が養子になっているのですが、「マコちゃん、末っ子になってくれる?」と言ってくださった。私はありがたくお受けしました。それからはもう「母上、母上」です。
■病院で弾いていた三味線は宝物
養子会にはノートがあって最後のページに「偉大なる母上様、末っ子松井誠」と書きました。養子は全部で20人くらいいて。ノートは今、誰が持っているんだろう。