BPOがきついダメ出し フジ「ニュースな晩餐会」で人権侵害
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会が15日、フジテレビにきついダメ出しだ。
バラエティー番組「ニュースな晩餐会」(15年3月8日放送)について「名誉を毀損する人権侵害があった」とし、人権と放送倫理に配慮するべく最も重い「勧告」の判断を下したのである。
地方都市の食品工場で起きたストーカー事件や社内いじめを取り上げた同番組は、社内いじめの「首謀者」とされた女性が事実無根だと訴えて審理入りしていた。具体的には女性被害者へのインタビューを中心に、取材協力者から提供された映像と役者による再現ドラマを組み合わせたVTRを放送。関係者の映像や音声は加工され、登場人物も仮名となっていた。
再現ドラマには「イメージ」「被害者の証言に基づいて一部再構成しています」というテロップが付けられたが、人権委はあくまで「視聴者は、現実に起きた特定の事件を放送しているものと受け止める」と指摘。フジが被害者側だけを取材し、警察や他の関係者への裏付け取材を怠ったことも問題視した。
また、BPOは番組制作サイドの「年配のパート女性が若い社員女性をいじめるというステレオタイプの思い込みが影響しているのでは」と疑問を呈し、放送後、複数回に及んだ申立人からの抗議にも「プライバシー保護という理由一点張りで耳を貸さず、おろそかな対応に終始した」と判断。フジの安易な取材や認識の甘さにノーを突きつけた。
同番組は14年10月、TBSを退社しフリーに転向したばかりの田中みな実(29)と、アンジャッシュの渡部建(43)によるダブルMCで鳴り物入りで始まったが、スタート当初から視聴率は低迷。途中リニューアルを図るも低空飛行を続け、15年8月に“打ち切り”になっていた。