ビートたけし “毒舌芸”のルーツは幼少期とヒモ時代にあり
そんな彼の唯一の楽しみは、もっと貧乏な同級生を見つけてとことん悪口を言うことだった。子供の悪口は容赦がなくて残酷だ。それが面白がられると、みんなが彼の真似をして悪口を言うようになった。のちに日本中を席巻するたけしの毒舌芸は、この頃に下地ができていたのだ。
明治大に進学してからも、すぐに学校には通わなくなってしまった。将来への夢も希望もなく、喫茶店のボーイをはじめ、いろいろな仕事を転々としていた。この頃、金持ちの中年女性に声をかけられ、ヒモになったこともあった。彼女の住む青山のマンションに出向き、1日1500円の食費だけをもらっていたのだ。
当時、社会からドロップアウトした「フーテン」と呼ばれる若者が新宿の盛り場にはたくさんいた。たけしもそんな有象無象の一人に過ぎなかったのだ。ずっとため込んできた鬱屈した感情が、マグマのように噴き出して芸人ビートたけしを形作ることになった。怖いもの知らずの彼の毒舌芸のルーツがここにある。