グラスに酒5合注がれ 4代目・旭堂南陵が受けた“入門試験”
2006年に上方講談の名跡「旭堂南陵」を継いで4代目を襲名。その後、12年には文化庁芸術祭賞大賞を受賞した実力派の旭堂南陵師匠(66)。酒量は酒豪で知られた3代目譲り。酒好きは還暦を過ぎても上方講談界屈指だ。
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「おまえをテストする」
こう言うて、師匠の3代目南陵が突き出したのは、三ツ矢サイダーのマークが入ったグラスですわ。そこに一升瓶から直接、日本酒をトコトコトコとつぎまして、「さあ、飲んでみろ」。
大阪万博の2年前、68年4月。近畿大学に入学して間もない頃ですから、まだ18歳。大学のそばにあった師匠の自宅へお昼すぎにお邪魔して、弟子入りを志願したときのことです。
3代目はむちゃくちゃ酒飲みでね。酒が飲めへん弟子取ってもつまらん、こう思うたんでしょうな。
僕は実家の母方こそ、叔父さんが身上潰すほどの大酒飲みやったけど、父は全然、飲めへんかったから、酒を飲むのは初めてでね。かといって、入門テストを断るわけにはいかへん。飲みましたよ。グラスでなみなみ5杯。5合ですわ。