ファンであり批評家 木の実ナナを励ました“永六輔の手紙”
永さんはといえば、水原弘さんが歌ったレコード大賞受賞曲の「黒い花びら」や坂本九さんの大ヒット曲「上を向いて歩こう」の作詞で知られ、放送作家、タレントとして活躍。そんな大先輩から、ラブレターのようなお手紙をいただいたのですから、戸惑いながらも「こんなふうに見てくれてる方もいるんだ」と、とても励みになりました。
それ以来、筆まめな永さんからは舞台や映画をご覧いただくたびに、たくさんお手紙をいただいたんです。時には辛辣な批評家であり、熱烈なファン。落ち込んでいるときに励まされ、方向性に迷ってる時はさながら羅針盤のようにアドバイスをいただきました。
なぜ、永さんがそれほど私を気にかけてくださったのか。永さんは元浅草、私は隅田川を挟んだ向かい側の向島生まれで、年齢こそ違いますが、気質が似てるんです。以心伝心、話も合うんです。
そして、1972年に劇団四季のミュージカル「アプローズ」に抜擢されて歌とダンスで道が開けてくると、74年から始まった細川俊之さんと共演の2人芝居「ショーガール」が大ヒット。ようやく低迷期から脱することができました。