最新作で全力疾走 還暦トム・ハンクスは低迷洋画を救うか

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■冒頭から始まる謎解き

 前評判では謎解きが強引だったり、ストーリーにむちゃがあるという声もあるが、映画ライターの平田裕介氏は、「2作目の出来とは雲泥の差。冒頭からいい意味でやられました」と見どころをこう話す。

「主人公であるラングドン教授の視点で謎解きを楽しむ作品ですが、今作は冒頭で主人公が記憶喪失に陥っているため、まずは自分の記憶の謎解きから始まるというストーリー展開にぐいぐいと引き込まれました。たしかに謎解きに若干ご都合主義なところがありますが、そのぶん、スピード感とアクションを重視した印象。トム・ハンクスは巻き毛のオッサンという容姿ですが、体当たりで臨んでいる逃走シーンは圧巻だし、『ハドソン川の奇跡』とは全く違う演技で、改めて、役者としての振り幅を感じさせます。加えて、物語のカギを握るヒロインのフェリシティ・ジョーンズの熱演や、中年男女の切ない恋模様も描かれ、なかなか楽しめる一本だと思います」

 伊フィレンツェやベネチアがロケ地ということもあって、同国を代表する高級ブランド「フェラガモ」の衣装を使用。トム・ハンクスが若くはない体にムチを打ち、フェラガモの革靴で石畳を全力疾走するシーンなどは、オジサン世代にとって胸を打つものがある。ベテラン俳優の体当たり演技は一見の価値がありそうだ。

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