中高年の“一匹狼”が殺到 「侍」リメーク映画が人気の理由
「あちこちの劇場で中高年男性の“一匹狼”が前列を陣取っている。最近の映画では、珍しい現象が起こっています」(映画ライター)
米映画「マグニフィセント・セブン」(アントワーン・フークア監督)がそれ。黒沢明映画「七人の侍」(1954年)と、同作を下敷きにハリウッドがこしらえた西部劇「荒野の七人」(1960年)の2本の要素を取り入れたリメーク作品……とまあ、まどろっこしいが、ひと言でいえば、弱きを助け強きをくじく西部劇アクションだ。
もっとも、強い女性をヒロインとし、7人のガンマンは黒人やコリアン、ネーティブアメリカンなど多人種で現代風にアレンジ。ド派手な銃撃戦は本家の「荒野の七人」を上回る迫力で、単なる“猿まね”ではないと評判は上々だ。映画ジャーナリストの大高宏雄氏はこう言う。
「西部劇の巨匠ジョン・フォードの作品を敬愛する黒沢監督の『七人の侍』を西部劇にアレンジしたのが『荒野の七人』。この循環性は非常に興味深く、そういった系譜を受け継ぐ今回の新作に、往年の映画ファンの食指が動くのは当然でしょう。日本映画は漫画原作の作品が多数ラインアップされ、アダルト層が見たいと思う映画が少ないのが現状。ハリウッドもアメコミ原作の映画が多く製作され、洋画の興行が伸び悩む要因のひとつとなっている。そんな金太郎飴みたいに均一化した作品が目立つ中、久しぶりにハリウッドの心意気を感じさせる一本です」
郷愁と爽快感を味わいに行きますか。