(20)そろそろ自分たちで…頼みの叔母から切り出された
母の認知症専門医院への入院後2カ月ほど経つ頃、父が庭で脚立から落下し、頭から血を流すという事件が起こった。軽傷だったというが、それを聞いてほっとできるわけもなかった。叔母たちは「お父さんも少しボケてきているんじゃないだろうか」と言う。
実は私もうすうす、そう考えていた。もともと優しい人だった父の頑固さやものわかりの悪さが生来のものではなく、認知機能の低下により起きているのではないかと感じていたからだ。
一方の母は、入院後に10キロも体重が増えたと病院のケースワーカーから連絡があった。食べることを拒否していた母が、今は食事を出されるままに平らげるようになったのだろうか。それとも、薬の影響だろうか。
院外の病院で検査を受けた結果、母に心房細動が見つかり、その影響で水分がたまりやすくなっていると診断された。今後、治療のためその病院へ通院する必要が生じたが、ここでまた問題が発生した。院外通院の付き添いは親族がおこなってほしいというのだ。
父には実家から車で1時間もかかる母の入院先に車を運転していく気力は残されていなかったし、何よりも運転させては危ない。私はコロナ禍の県外者なので、熊本にやってきて接触するのは厳に避けてほしいと病院からクギを刺された。