倉本聰に挑発され奮起 昼ドラ「やすらぎの郷」番組Pの覚悟
企画書の1ページ目には〈舞台は芸能界で活躍した人たちが入れる無料の老人ホーム。でもテレビ局員だけは入れない。テレビをダメにした張本人だから〉と書かれており、「倉本聰から挑発されて、それに応えないテレビマンはいないでしょ?」と振り返る。
「いまのプロデューサーやディレクターは、ばかだばかだと言われますが、捨てたもんじゃない。倉本先生が思い描く映像をしっかりと形にし、僕らもきちんとドラマを愛していますと見せる。それが、いただいたホン(=脚本)に対する返礼だと思いました」
■浅丘ルリ子が4話目まで登場しないので相談したところ……
若者向けのゴールデンタイムに対抗し、年配者向けのシルバータイムと銘を打った。具体的な違いは「話のテンポ」だ。
「仮にゴールデン帯のリズムでつくるなら、1週間計5回は3回分ぐらい。これまでよりゆっくりとしたテンポで、ホンをいただいた時は、正直、戸惑いました。予告には出てくる浅丘ルリ子が4話目まで登場しないけれど、果たして視聴者は待ってくれるのか。めちゃくちゃ怖くて心配になり、先生にも『初回から(老人ホームの)やすらぎの郷を見せられませんか』と相談したら、『見せないように書いてるんだよ!』と怒鳴られました(苦笑い)。当たり前ですが、巧みに計算されている。一喝されたことで皆、覚悟を決めました」