水谷豊が40年越し監督 映画「TAP」を批評家はどう見たか
■圧巻ダンスに込めた40年分の意地
原案となるストーリーは水谷豊が20代の頃に考案。だが映画会社には「タップの映画では客が入らない」と門前払いされた。その後、タップダンスの要素を縮小した映画化が進んだこともあるが、自らその企画は降りてしまったという。
「ダンサー役はタップの実力重視で選んだ演技経験のない若手が中心。これは監督の強い意向です。水谷監督は約40年間、3度も映画化が頓挫する挫折を味わいながら、タップダンスそのものを見せ場にする一点だけは譲らなかった。その代償として、確かに若手の演技は拙いです。しかしそれを水谷自身や岸部一徳、六平直政らベテラン勢がいぶし銀の演技力で見事にカバー。感動的な世代交代のストーリーともシンクロしていて、中高年の観客を泣かせます」(前出の前田氏)
クライマックスは24分間ノンストップのダンスシーン。ネット上にはこれに圧倒されたとの絶賛の声が並ぶ。今夜は監督40年越しの夢をかなえた絶品のタップダンスに酔いしれてみてはどうだろうか。