市川紗椰に嫉妬 久米宏がこだわる生きた番組をつくる言葉
「『ニュースを番組にする』ということは、原稿の内容に加えてキャスターの表情や話し方、出演者の服装、セット、小道具などをすべてつくりあげていくということだ。そして、テレビではこの外観のイメージ、雰囲気が決定的に重要な要素となる」(世界文化社「久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった」2017年9月13日発売)
スタジオに都会的でオシャレなオフィス空間を誕生させた。それはまったく新しいニュース番組を象徴するものだった。
そんな中、久米にとって大きな壁になったのがニュース原稿だった。報道記者が書くニュース原稿は「心が洗われるような白い雪」だとか「憎しみが憎しみを招く連鎖」など昔ながらの名文調、美文調ばかり。一文が長く分かりにくい。だから久米は記者たちに「普段話す言葉で書いて欲しい」と繰り返し要望したが、なかなか分かってもらえなかった。本番の最中はもちろん、読み始めてアドリブで言葉を差し替えることさえあったという。
そして新鮮な言葉になるようにこだわった。アシスタントを務めた小宮悦子は、「手垢の付いた言葉は使うな」と久米から言われ続けたという。「たとえばパンダを見たらカワイイと言うな。桜を見てキレイと言うな。違う言葉で表現しなさい」(TBS「サワコの朝」17年3月18日)と。