救急治療の必要性…ChatGPTは的確に判断するも人は誤解が多い
国内における救急車の利用は急増しており、2022年における搬送人員は621万人超(前年比13.2%増)でした。医学的な知識がない一般の人にとって、救急治療の必要性を的確に判断することは難しく、救急車の出動要請が増加している一因となっています。
ChatGPTに代表されるような生成AIは、病状に対する緊急性を判断するうえで役立つ可能性があります。
一方で生成AIは事実とは異なる回答をすることもあり、情報の妥当性については議論の余地もあります。そのような中、救急治療に関するChatGPTの有用性を検討した研究論文が、日本救急医学会誌に2025年3月12日付で掲載されました。
この研究では、総務省消防庁が作成している救急受診ガイド(家庭自己判断)に基づいて、466件の病状シナリオが検討対象となりました。各シナリオにおける救急治療の必要性をChatGPTに質問し、回答内容の質を専門家7人が評価し、回答内容に対する解釈を一般人157人が評価しています。
専門家による評価において、ChatGPTの回答は緊急度が高いシナリオのうち、95.9%のケースで症状を正確に識別し、96.5%のケースで救急治療を正しく推奨していました。