甲子園の“勝ち歌”新定番歌う アーティスト成底ゆう子に聞く
平成から新元号・令和の世になることになったが、これから先もずっと歌い継がれていく“勝ち歌”がある。石垣島出身のシンガーソングライター・成底(なりそこ)ゆう子さん(43)の「ダイナミック琉球」である。
2017年夏の甲子園だった。アルプススタンドから「♪海よ 祈りの海よ 波の声響く空よ 大地踏み鳴らして叩く 島の太鼓ぬ響き♪」という歌声が響き渡った。選手たちを奮い立たせる歌、スタンドの生徒たちを鼓舞する歌、そして勝利を呼び込む“勝ち歌”として採用する高校が増えていった。これがSNSなどで一気に拡散され、再生回数は約321万回(4月1日現在)を超えてなお、その勢いは一向に止まるところを知らない。「ダイナミック琉球」との出会いなどじっくりと話を聞いた。
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ーー高校野球の聖地・甲子園で「ダイナミック琉球」が歌われていることを初めて意識したのは2017年夏の甲子園・仙台育英高(宮城)と広陵(広島)との一戦だった。
「その試合をテレビ観戦していたのですが、多くの友人から『今、ダイナミック琉球が歌われているね。凄いじゃない!』といった連絡が入りました。試合に集中していたせいか、それとも『甲子園で自分の歌が流れるなんて絶対にあり得ない!』と思い込んでいたせいか、私の耳には入ってこなかったのです。せっかく仙台育英高さんが演奏して歌ってくれたのに……。友人たちには『おかしいだろ』と怒られてしまいました」
ーー2018年の夏の甲子園を制した大阪桐蔭高は、歌詞の「島の太鼓の響き」という一節を「目指せ春夏連覇」に替えて歌っていた。仙台育英は「杜の都の響き」と替えて歌った。地域ごとに「それぞれのダイナミック琉球」が生まれているのが非常に興味深い。
「ライブで歌うと一番盛り上がり、会場がひとつになる感覚でした。その場にいる人たちの<心と心を繋ぐ力を持っている>と感じていました。それにしても『海よ 祈りの海よ……』で始まる歌が、まさか甲子園で歌われるようになるとは……とびっくりしましたが、2011年にリリースして2年くらい前まで再生回数は15万回ほどだったのに一気に300万回越えです。この曲を歌うようになっていろいろな場所で、いろいろな人たちとの<ご縁>も生まれました。とても嬉しく思っています」