【特別対談】ひろゆき×吉川圭三 令和時代のエンタメを語る
「バカの再生産」が起きている
吉川 映画でも力を発揮している隣国、中国は脅威ですか?
ひろゆき 中国は経済力に裏打ちされた軍事力と国民の個人情報を吸い上げたビッグデータがある。日本は個人情報保護の問題からも構造上勝てないから、中国の“ビッグデータをベースにした技術”を使わせていただくか、“世界中の知識が集結した”アメリカに高いお金を払って使わせていただくかの2択しかないでしょう。
吉川 私も戦争しても得にはならないと思いますね。
ひろゆき ケンカにはならないでしょうね。陸続きの隣国は大変だと思いますが、幸い日本海があるので傍観できますし。日本って成功者を嫌いますよね。あれだけ日本に税金を払って、東日本大震災で100億円も寄付したのは孫(正義)さんだけなのに、外国人扱いする。国力のために資金を提供している孫さんを日本人はもっと感謝してもいいと思うんですけどね。
■「技術が進んでも人間関係がネックに」
吉川 日本はどうなるんでしょう? ひろゆきさんの著書のように“バカ”は増えているのでしょうか。
ひろゆき 頭が悪いと自覚していない人が増えていると思います。
吉川 ネット社会とバカの増殖には因果関係があるのでしょうか。
ひろゆき 頭の悪い人がよくない形で間違ったものを探して拡散させることができる環境ではあります。
吉川 本当にわかってるの、って思う書き込みも多いですね。
ひろゆき インテリの中にもバカがいます。知識人が間違った前提をしゃべって「バカの再生産」が起きている。
吉川 間違った知識を小難しく語る人も増えたような。
ひろゆき 難しく言うとツッコまれにくいから。
吉川 なるほどね。学歴社会はどうなるとお考えですか?
ひろゆき 今後はすごく重要になると思います。海外に活路を見いだすとなると、学位がないとワーキングビザも出ませんから、大卒かどうかが大事になると思います。
吉川 金と学歴がモノをいうってことですか?
ひろゆき おカネで解決する80年代の考え方に戻りつつあると思います。バブル期は、過重労働でズタボロでも、働いた分対価が支払われたからなんとかなった。でも売り上げが下がった今はギスギスしている。だからこそ、おカネで解決するほうがスムーズなのです。
吉川 これだけ技術が進歩してもなお、会社の人間関係がネックになっていますからね。
ひろゆき 周りを変えようとするから苦しむ。相手を変えるには、説得する材料を揃えて、時間を取って、説得し、それでも失敗するかもしれない。相手を変えるより、自分を変える方が確実だし楽なのに。
吉川 それ新しい。水素エネルギーみたいで。
ひろゆき 昔から言われているのに2019年に何で繰り返されているんだろうと思います。自分を変える方がよっぽどコスパがいいですよ。
▽よしかわ・けいぞう 1957年、東京都生まれ。82年、日本テレビに入局。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。現在、ドワンゴエグゼクティブプロデューサー。近著に、テレビ局の内幕をリアルに描いたエンタメ小説「泥の中を泳げ。―テレビマン佐藤玄一郎」(駒草出版)がある。
▽ひろゆき 1976年、神奈川県生まれ。99年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設。2006年に「ニコニコ動画」を開設、09年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。15年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。現在、フランス・パリ在住。近著に「自分は自分、バカはバカ。他人に振り回されない一人勝ちメンタル術」(SBクリエイティブ)がある。