木村拓哉「グランメゾン東京」は奥行きある大人の群像劇
日々下がっていく気温とは逆に、ヒートアップしてきたのが、日曜劇場「グランメゾン東京」のフレンチバトルだ。
主人公の尾花(木村拓哉)、オーナーシェフの倫子(鈴木京香)、京野(沢村一樹)、相沢(及川光博)という「グランメゾン東京」チーム。そして、パリの修業時代から尾花と因縁のある丹後(尾上菊之助)と祥平(玉森裕太)が組んだ「レストランgaku」チーム。どちらもミシュランの3つ星を目指しており、先日、その前哨戦ともいえる「トップレストラン50」の勝負に突入した。
尾花たちが考案した新メニューは「鰆(さわら)のロースト 水晶文旦のソース」。鰆は文字通り春の魚だが、冬のそれは産卵期前で脂が乗っている。難しい「火入れ」を何度も実験し、絶妙の焼き加減を探っていく。当然、料理の場面が毎回登場するわけだが、つい見入ってしまうだけの力が画面にある。料理の発想やそれを実現する技術もさることながら、客を喜ばすために、一皿にとことん心血を注ぐ料理人たちの姿に打たれるからだ。
尾花も丹後も、彼らを支える面々も、まるで求道僧のようだ。その一方で、フードビジネスの暗部もしっかり描かれており、大人の群像劇として奥行きのあるものになっている。そう、このドラマは、「木村拓哉主演の群像劇」という新メニューが功を奏したと言っていい。