著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

「黒いサンドウィッチマン」鬼越トマホークは猛毒芸で席巻

公開日: 更新日:

 2019年12月23日放送の「スッキリ」では、MCの加藤浩次に対して坂井が「おまえ、闇営業に便乗して、自分だけすっきりしてんじゃねえ」と噛み付き、金ちゃんが「加藤さんだけすっきりして後輩芸人は何も変わってないんで、あの茶番、何だったんだろうって思ってるだけだと思います」と続けた。先輩芸人でもお構いなしに本音をぶつけている。

 彼らの喧嘩芸は数年前に深夜番組で披露されて少し話題になっていたのだが、その後は忘れられていた。だが、昨年あたりから再び注目され始め、多くのバラエティー番組に出るようになっている。

 彼らはいまや会社の忘年会などの営業でも引っ張りだこの人気者だ。社員の気持ちを代弁して社長ら重役に毒を吐く芸で拍手喝采を浴びている。

 上下関係をものともしない彼らの喧嘩芸は、サラリーマンが普段は言えない本音を上司にぶつけるための格好の手段である。見た目は「反社」の2人が行っている過激な毒舌芸は、意外にも、世の中の風通しを良くする「世直し」に一役買っているのだ。

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