沢尻エリカと宮迫という芸能者とテレビという無粋な世間
「世間のまなざし」って何なんだろ。公の秩序、善良な風俗といっても実は得体が知れないし、まとわりつかれると気が悪い。例えば、沢尻エリカが公判に、紺のスーツ姿で赤い口紅までひいて立ったのは“いかにも女優みたいで役を演じてるようだった”とか、芸人の宮迫がユーチューブで闇アルバイトを謝罪したら“あれは演技で反省していない、復帰は早過ぎだ”とか。それが秩序、良俗か。世間はやかましい限りだ。
先日も、エリカの育ての親だというレッテルだけで、見もしなかったテレビのミヤネ屋なんぞにまで呼ばれて「女優復帰はどうなんでしょう?」などと、こっちは知る由もない質問をされ、揚げ句に「19歳から大麻を吸ってたと法廷で述べたそうですが『パッチギ!』の公開の年ですが、もうそんな頃から悪い大人たちが周りにいたということですか?」と、まるでこっちまでそんな大人だったような無礼な言われようで、本当に本番中ずっと気分が悪かった。あれが飲み屋だったら怒鳴り返していたな。
彼女は18歳でパッチギの現場でその辺の女子じゃマネできない迫真の演技をしたのは確かだが、その後、どんな仕事が続いてどんな暮らしになったかなんて家族でもないし、知る由もないのだ。テレビ屋になめられたもんだと思うと腹が立ち、久しぶりの我が青春の大阪だというのに気が失せて、心斎橋の馴染みのオムライス屋に寄るのも忘れて、新幹線に飛び乗ってしまった。