著者のコラム一覧
板坂康弘作家

東京都出身。週刊誌ライターを経て、阿佐田哲也、小島武夫が結成した「麻雀新撰組」に加わり、1972年創刊「近代麻雀」の初代編集長。小説CLUB新人賞を受賞して作家デビュー、著書多数、競輪評論でも活躍。

<2>阿佐田少年は東京・市谷でB29の大空襲にあった

公開日: 更新日:

 気になるのは、劣等生という言葉。市谷から通える範囲は、府立一中(現・日比谷高校)や市立一中(現・九段高校)をはじめ、有名校が多いが、彼が選んだのは生徒が定員に満たない新設中学だった。

 この背後に、意外な事実が伏せられている。

 説明しておきたいのは、旧制中学の入試が廃止になり、当時は校長名の内申書だけで進学が決まったこと。その内申書で6年生の阿佐田さんは「操行」が「丙」に評価された。学業が優秀でも、素行が悪くては有名校に行けない。

 阿佐田哲也さんが没して31年。丙に評価されたことは、ほとんど知られていない。プライバシーに関することでもある。一方で、阿佐田哲也(色川武大)の文学を理解するための、重要なファクターではないか。

 迷いながらだが、私が知る事実を記すことにした。もはや故人を傷つけることはなく、作品世界への理解を深めるのに資すると思う。

 次回に具体的な内容を記すが、当時の少年たちは、五寸釘といわれる15センチぐらいの長い釘を研いで刃物を作った。これが事件を起こしたのである。

【連載】阿佐田哲也 ギャンブルの哲学

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議