ショーン・コネリーの栄光と苦悩 ボンドの話は禁句だった

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 そしてボンド役以外でも、修道士を演じた「薔薇の名前」(86年)など、数々の名作を残した。「007は二度死ぬ」でコネリーと共演した浜美枝はこんな追悼コメントを発表している。

「ボンドガールとして渡英し、右も左もわからない撮影現場に戸惑っていた私に『大丈夫? 心配事はない?』と毎朝、声をかけてくださったのがショーン・コネリーさんでした。あのときの人を包み込むような優しいまなざし、深みのある穏やかな声を今も忘れることができません。(中略)役者として、ひとりの人間として、気骨のある生き方を貫かれたその生き方にどれだけ励まされ、勇気づけられたでしょう」

 スクリーンでショーン・コネリーに魅了されてきた日本の中高年世代ならば、浜と同じような感慨があるのではないか。芸能リポーターの城下尊之氏はこう言う。

「海外のスター俳優なのですけれども、その映画を見てきた私たち日本人にとっては、もう少し身近な、憧れの存在だったと思います。どの役を演じても、常に気品があり味わいがあって、ダンディズムを見せてくれた。心に残る人であり、どれもが大切なメモリーですよ。またあの懐かしい映画を見たい、見続けていきたいと思わせてくれる。そうやって、いつまでも人々の記憶のなかで生き続けていくのでしょうね」

 ボディービルで鍛えた分厚い胸板に、胸毛をたくわえた男の色気。それでいて知的で優しい生きざま。滞在先のバハマで睡眠中に息を引き取ったことが発表されて以来、世界中から哀悼の声があがっている。

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