YOASOBIは紅白出場濃厚「夜に駆ける」は死への渇望を昇華
確かに、生死と向き合ったこの2020年に「夜に駆ける」という楽曲が流行ったことの意味を考えずにはいられないが、筆者はこの楽曲が流行ったことには意味があると思えてならない。
表現すべきフィクションと、表現すべきではないフィクションは確かに存在する。しかしこの楽曲は決して「死を推奨する歌」ではなく、むしろ死への渇望に捉われるその愚かさを表現しているように感じる。
死への渇望は生の苦しみからの解放にはならず、逆にその思いに束縛され、より苦しみが続くだけなのかもしれないと思わずにいられなかった。
キャッチーなサウンドと死への渇望を表現した歌詞。その違和感こそが、フィクションとしての気づきを聞き手に与え、それこそがまさにフィクションの底力をも感じさせてくれる。
「夜に駆ける」という楽曲の奥深さを、まだまだ味わいたい。