「エアガール」は連続ドラマでやってもいいほど濃さ
ひとつは「エアガール」と呼ばれた、現在のCA(キャビンアテンダント)の大先輩たち。戦争で両親と兄を失った佐野小鞠(広瀬すず)もその一人だ。新たな職業の苦労も「先が見えないほうがワクワクしていい」と前向きな小鞠。兄の戦友だった三島優輝(坂口健太郎)との淡い恋も含め、広瀬が魅力的に演じた。
そしてもうひとつの見どころが、戦後初となる「日本の航空会社」設立をめぐる物語だ。松木静男(吉岡秀隆)は、「戦後日本航空業界の父」と呼ばれ、日本航空の社長や会長を務めた松尾静磨がモデル。
当時、海外の航空資本と手を結ぼうとしていた白洲次郎(藤木直人)と激しくぶつかる。「(吉田茂の)側近という立場を利用して日本の未来を海外に売り飛ばすだけのブローカーだ!」と白洲に詰め寄る場面は圧巻だ。
1951年に日本航空の前身である「日本民間航空」が就航してから今年で70年。「はじめて物語」として見応えがあり、連続ドラマでやってもいいほど濃い内容だった。脚本は今秋放送の日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」(TBS系)も手掛ける橋本裕志だ。