コロナ禍で世界中のマジシャンが仕事をなくしてるんじゃないでしょうか
「マジシャンになりたくて、教室の先生の紹介で、東京の北見マキ先生に弟子入りするため上京しました。17歳の年です。ちょうど先生がアシスタントを募集していたので、すんなり入門できました」
北見マキは和装でマジックを演じる「和妻」の名手である。
「先生は当時から売れてました。毎日掛け持ちの仕事があって、ずっとそばに付きっきりです。マジックの道具が入ったバッグは重たくて、15キロもあります。当時は車輪付きのキャリーバッグなんてない頃ですから、両手で持つしかありません。また、先生は歩くのが速いんで、人混みの中をバッグを抱えてついていくのが大変でした」
しばらくは、付き人の役を務めた。
「アシスタントとして舞台に上がれたのは、4カ月経ってからです。先生の得意ネタに、傘を次々と出すのがあるんですが、ちょっと仕込みを間違えると、楽屋に戻ってその傘で殴られる。ある時、新品の傘で殴ったら壊れちゃって、それ以来殴らなくなりましたが(笑い)」
厳しい修業をしながら、マジックの腕を磨いたのである。 (つづく)