もの足りなかったNHK-BSのドキュメンタリー「哀れな特攻」だけでは軍の正体は見えない
NHK・BSのドキュメンタリーももの足りなかった。沖縄戦で最大規模の「航空特攻」で、若い命が3000人散ったというふり出しで始まった「特攻・知られざる真実」は、米巡洋艦に陸軍のどの部隊の機がどの方角からどれほどの低空飛行で突入したのか、それを海に沈んでいる残骸から実地検証し、CG画像で再現してみせたが、体当たりの酷さを知らされただけだ。
特攻の軍令を隊の上官がどんな言い方で若い隊員に告げ“志願”させたのか。そんな同調圧力の中、特攻拒否した者は本当に一人もいなかったのか? 特攻の検証なら、軍部の上意下達の実態にこそ迫ってほしかった。「哀れな特攻」だけでは軍の正体は見えない。だから、いつまでもこの国はニッポンガラパゴス諸島のままなのだ。