六角精児を直撃「僕にとって劇団は住み慣れた我が家のようなもの」

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 テレビドラマ「相棒」シリーズの名物キャラ、鑑識課員・米沢役でおなじみの個性派俳優、六角精児さん(59)。劇団扉座の旗揚げメンバーであり、5日から上演される結成40年記念公演「ホテルカリフォルニア」では3年ぶりに本格参加。学ラン姿の高校生を演じる。

 物語は、還暦を迎えた劇作家が高校時代のほろ苦い思い出を振り返るという青春グラフィティーです。

 サブタイトルの「県立厚木高校」は僕らの卒業高校で、演劇部で芝居に熱くなっていた主宰の横内謙介さんや岡森諦さんなど劇団旗揚げ仲間の当時の青春が反映されています。

 ぼくは彼らよりも1学年下ですけど、横内さんに誘われて高校演劇からスタートし、大学生の時に旗揚げした「善人会議」(扉座の前身)時代から40年ですからね。

 もともと、そんなに役者に思い入れがなかったのでその間に何度もやめようと思ったけど、そのたびに横内さんに「まあ、もうちょっと待って」と慰留されて、芝居以外に自分ができることもなくてズルズルと来てしまいました(笑い)。

 僕にとって劇団は高校時代の部活の延長のようなもので、外でブラブラほっつき歩いても帰ることができる家です。長い間留守にしても自分の6畳一間の部屋がそのまま残っていて、大の字になれるような。

マスコミの仕事は劇団活動の傍らの“アルバイト”

 変な言い方かもしれないけど、テレビやマスコミの仕事は劇団活動の傍らのアルバイトみたいなもの。劇団は経済活動するところではなく、あくまでも「演劇活動」なんです。もちろん、仕事の現場では自分に求められることに対しては常に全力投球です。

 以前、ずいぶんムチャやってたギャンブルも今は競艇くらいですか。お酒と「乗り鉄」趣味が高じて生まれたNHKの「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」はおかげさまで今も続いています。オフの日が2日あれば本州のどこか。3日あれば北海道あたりにプライベートでも足をのばしています。

 今回の芝居は初演が1997年。24年ぶりの再演なので体形が変わったようで、劇中で着る学ランは今回はだいぶでっかくなりました(笑い)。

 小劇団が40年も続くのは奇跡的なことで、横内さんは若い人たちやシニアにも芝居の楽しさ、素晴らしさを伝えようと信念を持って今も頑張ってる。その持続力には頭が下がります。

 久しぶりに昔の仲間たちと稽古場でわいわいやってると、劇団っていいなと思います。芝居を純粋に楽しんでいる僕を劇場で見てほしいですね。

(聞き手・山田勝仁=演劇ジャーナリスト)

■扉座40周年記念公演「ホテルカリフォルニア-私戯曲 県立厚木高校物語-」(作・演出=横内謙介)は12月5日=厚木市文化会館、12月7~19日=新宿・紀伊國屋ホール。

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