<134>弁護士風を吹かせることもなく…同志2人を得た喜び
虫のいい話であると思ったが、私は目の前の彼らに対して熱っぽく説いていった。なるだけ彼らの負担にならないように、私が全面的に彼らの手助けをすることも提案した。渥美弁護士はお酒が進む口で、お互いのプライベートな話でも盛り上がっていった。四角四面のお堅い職種とばかり思っていたが、アニメとコスプレが好きだというので私は苦笑するしかなかった。
「ほら、これを見てくださいよ」
渥美さんが笑いながらスマホの画面を突き出した。そこには六法全書を手にした女性が映っている。化粧を施した松永クンが妖艶にほほ笑んでいたのである。
「ウチは色物弁護士事務所ですから」
渥美さんは笑いながらアニメ漫画から飛び出してきた少女のようなコスプレの自身の写真も見せてもらった。
■薩長同盟のような高揚感
松永クンはこの1年前に、過払い金返還請求の宣伝で有名な法律事務所から移ってきたらしい。渥美さんの説明によると松永クンは、そこのトップ弁護士だったという。渥美さんも無罪請負人で有名な弁護士の事務所に籍を置いていたのだから、実力のほどは想像できる。そもそも試験に合格しなければ入れない事務所だと聞いて驚いたものだ。