線路しかなかった町の奇跡! 韓国では秘境の「手作り駅」が観光スポットに
そのため周辺住民が簡易駅を作り、鉄道庁に臨時乗降場を請願。88年4月に「両元駅」として朝夕2本だけ列車が停車することになった。
ごく限られた住民のための小さな無人駅は利用客が少なく、一時は廃止の危機に追い込まれたが、本当のドラマはここから始まる。駅がなくなれば、住民は代わりのバスに乗るために6キロ近くも山道を歩かなければならない。そのため、用がなくても隔日で電車に乗車し、利用客を増やす努力をしたのだ。
2013年にトロッコ風の観光列車「V-train」が運行を開始すると状況が一変する。秘境にある「両元駅」そのものが観光スポットとして注目されるようになった。のどかな列車の旅は、洛東江(ナクトンガン)という川を見下ろせ、近くにはトレッキングコースもある。「両元駅」では10分の観光停車時間が設けられ、周辺住民が山菜などの農産物を売りにくるようになった。
駅の誕生から34年が過ぎた今、少し用途が変わった気もしなくもないが、「両元駅」は乗り鉄と映画ファンの憩いの場になっている。まさに住民たちが起こした奇跡で、多額の税金を投じるハコモノ行政などは必要ない。