ウクライナ人プロデューサーが映画「チェルノブイリ1986」に込めた“プーチン批判”
ウクライナへの侵攻初日に制圧されて以来、3月末までロシア軍の支配下にあったチョルノービリ(チェルノブイリ)原発。歴史的舞台として再び注目される中、36年前の爆発事故を描いたロシア映画「チェルノブイリ1986」(20年)が日本公開となる。
■ロシアで初登場1位
事故の初期対応にあたった消防士らの死闘を描いた感動パニック作品で、本国ロシアでは初登場1位を記録。だが、この時期にロシアの愛国的映画を日本公開ということで、早くも物議をかもしている。映画批評家の前田有一氏が解説する。
「ロシア政府やロスアトム国営原子力企業の協力を得て作られた超大作で、チェルノブイリと同型のクルスク原発で撮影するなどリアルな事故シーンが見どころ。さすがにこの時期は難しいのではと公開延期が噂されていました。しかし監督と主演を務めたダニーラ・コズロフスキーの反戦メッセージを事前に公開したり、配給会社が収益の一部をウクライナへの人道支援に寄付すると表明するなど、いろいろと配慮したうえで予定通り公開となったようです」