倍賞千恵子主演「PLAN 75」が描く超高齢社会 この世に“いらない人間”は存在するのか
老いるというのは、人のお荷物になってしまうということなのでしょうか? 少子高齢化が深刻化する日本において、やがて年を重ねた時、「どのように人生を終えるのが良いか?」というのは、難しい問題です。
このようなテーマを扱った作品としては、70歳になると山に捨てられるという姥捨山伝説を描いた深沢七郎の短編小説「楢山節考」がこれまでに2度映画化され、1958年には木下惠介が監督し、1983年に今村昌平監督が映画化した際にはカンヌ国際映画祭にて最高賞であるパルム・ドールを受賞しました。
今回ご紹介するのは、そんな「老いた未来」というテーマに深く切り込んだ映画『PLAN 75』です。今作は、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』(2018)の一編「PLAN75」を撮った早川千絵監督が、キャストを一新し、物語を再構築した長編映画デビュー作となります。
映画は、倍賞千恵子扮する夫を亡くし子を持たない78歳のミチが、75歳以上の高齢者は自らの最期を選ぶ権利を持てる新制度によって人生の終方について模索していきます。