倍賞千恵子主演「PLAN 75」が描く超高齢社会 この世に“いらない人間”は存在するのか
さらに娘の手術代の為にフィリピンから出稼ぎに来た女性の姿を通して「いらない人間は居ない」と観客に訴えてきます。
■いまや安楽死は国際的な関心
早川監督は、NYの美術大学で写真を専攻し映像作品を製作、短編『ナイアガラ』は2014年カンヌ国際映画祭シネフォンダシヲン部門に入選。今作も第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門へ正式出品が決まりました。
これは脳裏に焼きつく画の力があるのはもちろんのこと、映画のテーマである安楽死が、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、スイス、コロンビア、アメリカの一部の州やオーストラリアのビクトリア州で自身による合法の選択として認められ、さらに高齢者の増加が世界的に注目されている現状があるからではないでしょうか。
若者たちも生きていれば必ず老人になる日がやって来ます。病を患っているのではなく健康な高齢者になった時、果たしてあなたは社会の為だからと仕方なく自ら死を選べるのでしょうか?
命の線引きについて、まだまだ考えなければいけない課題が山積みなのだと気付かされた映画でした。