著者のコラム一覧
桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

ブーイング相次ぐNHK朝ドラ「ちむどんどん」にも楽しみ方はある

公開日: 更新日:

 スタートしてかれこれ1カ月。ネットで叩かれまくっているのが朝ドラ「ちむどんどん」だ。世間が何を怒っているのかというと、一番はニーニー(兄)・賢秀(竜星涼)の不甲斐なさ。長男でありながら定職にもつかず、喧嘩っ早い。挙げ句に一獲千金を夢見て詐欺に遭い、逃亡した。

■クズ男ニーニーに振り回される家族

 一家のトラブルメーカーは歴代朝ドラのクズ男の中でもトップ5に入る勢い。ところが、先週、沖縄編の終わりに賢秀の株が上がる事件が……。沖縄を逃亡した賢秀は東京に出てボクサーになり、初戦KO勝ち。そのファイトマネーが家族の元に届けられ、長年、比嘉家が苦しめられてきた借金問題が一挙に解決したのだった。

困難にもめげず陽気で前向きに生き抜く姿

 ヒロインの暢子(黒島結菜)も念願の東京に行けることになり、めでたしめでたし……。と思ったら今週スタートした東京編。暢子が兄のボクシングジム(会長は具志堅用高)を訪ねるもそこに賢秀の姿はなく……。会長や仲間から借金しまくって逃亡。おかげで家族はまたもや借金だらけ、暢子は兄を捜して横浜・鶴見へ行くことになる。

 そんなこんなの「ちむどんどん」。世間の批判もごもっともだが、それも含めて私は結構楽しんで見ている。当初は沖縄返還50周年にあえて沖縄を舞台にした朝ドラをもってきたということはそれなりの覚悟を持ち、それこそ返還前後の混乱ぶりなどを描きつつ、沖縄が背負わされてきた歴史や人々の葛藤を描くのだろうと思った。が、そういうことはあまたのドキュメンタリーが描いてきたことだし、そちらを見た方が数倍タメになる。第一、時計代わりの朝ドラにそこまで背負わせたら窮屈になるだけだ。

 だったら、それは隠しテーマとして沖縄の人たちの困難にもめげず、明るく陽気、前向きに生き抜く生命力や、人情に厚く、助け合い精神にあふれたところを笑い要素多めで描いてくれた方がスッキリする。

つい口にしたくなる「あきさみよー」「まさかやー」

 沖縄から東京にカバン1つ、ビーチサンダルで来たっていいし、三線の音色に導かれ家に入ったら、そこがたまたま県人会会長のうちだっていい。そんなことに目くじらたてず、ファンタジーとして楽しまなきゃソンだ。いっそ、もっとコミカルに振り切った方がいいとも思う。

 何よりも出演者が豪華。ヒロインの母が仲間由紀恵で、姉が川口春奈、妹が上白石萌歌。ワンポイントで片桐はいりが出てきたり。

 今週からは鶴見の沖縄県人会会長で片岡鶴太郎、レストランのオーナーに原田美枝子、シェフに高嶋政伸

 暢子が口にする「ちむどんどんするー」はまだ使いこなせないが、「あきさみよー」と「まさかやー」はつい口にしたくなる日本語として積極的に使っていきたい。

 世の中がみんな沖縄県民なら、もっと楽に暮らせそう。ああ羨ましい。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  3. 3

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  4. 4

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 5

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  3. 8

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  4. 9

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  5. 10

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    ヤクルト茂木栄五郎 楽天時代、石井監督に「何で俺を使わないんだ!」と腹が立ったことは?

  5. 5

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ

  1. 6

    菜々緒&中村アン“稼ぎ頭”2人の明暗…移籍後に出演の「無能の鷹」「おむすび」で賛否

  2. 7

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  3. 8

    ソフトバンク城島健司CBO「CBOってどんな仕事?」「コーディネーターってどんな役割?」

  4. 9

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 10

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ