<88>今は通過点…オレとしてはまだね、伝説扱いはイヤなんだよ
2022年の今、現在(2)
今はまだ、通過点なんだよ。ザワザワしてるし、まだ、いいかげんなコトを続けてる。それは、オレがいいかげんだからというより、自分がわからないからだよ。頂点を目指してとかじゃないんだ、頂点なんてないんだからさ。
例えば、ピカソとかもそうじゃない? ピカソの作品、あれはみんな、過程なんだよね。歴史とおんなじでさ、「ゲルニカ」だってさ、たまたま生きてるときに、(ゲルニカの惨劇が)あったっていうだけで、あれがもう頂点だって本人は思ってないし、ひとつのエピソードが、自分のピカソの人生に入ってきただけでさ。
■まとめっていうわけじゃない、途中なんだ
みんな、なんかに集約しちゃうとまずいわけ。イズフォト(ミュージアム)でやってくれた写真集の展覧会ね、これをやったのも、本を展示するという見せ方がさ、こんだけいいかげんで、本もバラついてるっていうのがわかるじゃない。そうすると、見た人が自分でストーリーをつくれるじゃない、ドラマを、人生をつくるっていう。それで、これはまとめっていうわけじゃないんだよね。途中なんだよ(2012年にIZU PHOTO MUSEUMで「荒木経惟写真集 アラーキー」を開催。電通時代に制作したスクラップブックの写真集から最新刊まで454冊の写真集・著書が展示室の壁面に展示され、そのほぼすべての本を実際に手にとって触り、ページをめくって見ることができる展覧会)。
この後もかなりあるんだけど、海外で出たのが多いんだよね。でも、まだまだ途中。オレの本、たいがい500冊以上って紹介してる場合が多いけど、たぶん、600冊を超えてんだよね。オレもわからないんだよ(笑)。
今、やっているコトを出していきたい
やっぱり今、ものすごく花と人形の「PARADISE」がね、人形ってヘンだけどさ、肉体、肉物じゃなくて、人形のが、なんかこう感じあえるっつう気分の時なんだよ。だから、やめないで続けるけどね。
今、やっているコトを出していきたいんだ。過去のコトじゃなくてさ。要するにね、オレとしてはまだね、伝説扱いはイヤなんだよ。まだ途中、過程だからね。
(構成=内田真由美)