吉高由里子は雑草育ちの叩き上げ 繊細さと可憐な透明感は健在
所属事務所は大手のアミューズではあるが、最初から華々しい道を歩んできたわけではなく、叩き上げと言ってもいい、雑草育ちの一面がある。主演女優としてすっかり定着した今となっては、そういう彼女の軌跡を知らない視聴者が意外と多いかもしれない。
吉高由里子は、なかなか解けない複雑な数式のように、意外性とワクワク感にあふれている女優だ。
初めてインタビューしたのは彼女が19歳の頃だが、「旅行で乗りたい乗り物は」という質問に「ロケット」と答えたり(雑誌「girls!」vol.23.07年10月発売)、予想を裏切る自由な答えが返ってきて、楽しかった。
そのときに彼女は自動車の運転免許を取ったばかりという話をしてくれて、「自分で運転していると、大人になったなあと思う半面、ちょっとさみしい気もして、複雑ですね」(同)と言いながらほほ笑んだことを覚えている。
大人になるさみしさ。その詩的な言葉を聞いて、女優向きの感性の片鱗を感じるとともに、ハートの繊細さを垣間見た。吉高由里子が見せる演技に奥深さがあるのは、そういう彼女自身の繊細さに由来している気がする。30代になった彼女は、大人の魅力を増しながらも、パステルカラーがとてもよく似合いそうな、可憐な透明感は、20代の頃から変わっていない。
今回の主演ドラマの「大人のピュア・ラブストーリー」というテーマは、透明な見た目と深い演技の対比が魅力的な30代の吉高由里子だからこそ演じられるモノとして期待感が高い。