相撲部屋の暴行死事件で注目された「死亡診断書」が持つ大きな意味
重大事故が起こった時などに、「心肺停止で病院に運び込まれ、1時間後に死亡が確認された」という記事を目にします。
病院は患者を治療するところです。既に亡くなっている方は治療できません。病院に運び込まれた時は「死亡しているとは言えない」状態であり、治療をしたけど死亡された、ということで、報道では冒頭のような表現になっているのです。
患者が死亡した場合、医師は死亡診断書を発行します。救急医療の現場では、これは本当に大変な作業です。
「窒息死(縊死)」「溺死」「焼死」などは、「検視官」による診断が必要で、肺炎や心筋梗塞などの「普通一般にみられる診療保険上の病名」を死因として記入するように、と上の方から言われているようです。そうでない場合は「ケーサツに相談するように……」と指導されているようです。
2007年、ある相撲部屋でその年の5月に初土俵を踏んだ17歳の新弟子が兄弟子らの暴行で死亡する事件がありました。
大相撲の世界も、この事件をきっかけに大変革があったようですが、注目すべきは、この時に心肺停止状態の新弟子が運び込まれた病院が当初、死因を「急性心不全」とし、死亡診断書を発行したことです。警察の発表も「虚血性心疾患(つまり心筋梗塞を起こす冠動脈の病気)」、つまり病死でした。病院とケーサツがよくよく「相談した」結果なのでしょう。