著者のコラム一覧
佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

上岡龍太郎には桂米朝と共通する「品のある笑い」があった

公開日: 更新日:

上岡龍太郎(2023年5月19日没、享年81)

 テレビ番組で一度同席しているはずなのである。しかし、それがどんな企画でだったのか思い出せない。言葉をかわしたのかも覚えていないが、静かで品のある印象だった。

 父親が人権派の弁護士だったという。わが師の久野収から、反戦運動を一緒にやったと聞いたような気もする。

 是非どこかで対談をと思いながら、2000年に引退されて、それはかなわなかった。その後はほとんど公の席に顔を見せなかったらしいが、桂米朝の葬儀には出たという。

 それを知って、さもありなんと思った。品のある笑いに共通性がある。上岡もおさらいしている場面は見せなかったというが、しかし、稽古していなかったわけではない。

 師弟物語を『夕刊フジ』に連載していた時、弟子の桂枝雀と米朝にそれぞれインタビューした。実にゼイタクな時間だった。

 米朝はその著『落語と私』(ポプラ社)を、自分の師匠の桂米団治から言われた次の言葉で結んでいる。

「芸人は、米一粒、釘一本もようつくらんくせに、酒が良(え)えの悪いのと言うて、好きな芸をやって一生を送るもんやさかいに、むさぼってはいかん。ねうちは世間がきめてくれる。ただ一生懸命に芸をみがく以外に、世間へおかえしの途はない。また芸人になった以上、末路哀れは覚悟の前やで」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に