著者のコラム一覧
佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

上岡龍太郎には桂米朝と共通する「品のある笑い」があった

公開日: 更新日:

 上岡が早々にスパッと58歳でやめたその身の振り方には、この言葉も影響していたのではないか。

「芸は一流、人気は二流、ギャラは三流、 恵まれない天才」と自らを称していた上岡は弟子のぜんじろうに「長いものには巻かれるな。大樹の陰には寄り付くな!」と言ってい たという。

 フランスの作家ラブレーは「すべての道化は戦争を否定する。戦争とはこわばりであり、道化とはすべてのこわばりの敵であるからだ」と喝破しているが、私は上岡とそうした道化論を語りたかった。

 あるいは、飯沢匡の『武器としての笑い』 (岩波新書)について、どう思うかを。

 シェイクスピアと近松門左衛門を同時代人として比較する人がいるが、シェイクスピアは多くの喜劇を書いたのに、近松は書いていないし、近松の書いた義理と人情は人間性の解放から程遠いと飯沢は指摘している。

 さらに、「笑いは下剋上の本質を持っている」として、こう続けているのである。


「儒教もユーモアのない道徳律であって、 孔子の伝記を読むと、斉の景公のところで喜劇役者を斬り殺している。笑いにとって孔子は大きな敵なのである。論語を読んでもユーモアはどこにもないところ、キリストの聖書とよく似ている」

 これらのことを上岡はわかっていた。とすれば『週刊新潮』の6月15日号で百田尚樹などが追悼の弁を語っていい人物ではない。それは上岡への冒とくである。(文中敬称略)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  4. 4

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  5. 5

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  1. 6

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  2. 7

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  3. 8

    やなせたかしさん遺産を巡るナゾと驚きの金銭感覚…今田美桜主演のNHK朝ドラ「あんぱん」で注目

  4. 9

    フジ反町理氏ハラスメントが永田町に飛び火!取締役退任も政治家の事務所回るツラの皮と魂胆

  5. 10

    女優・佐久間良子さんは86歳でも「病気ひとつないわ」 気晴らしはママ友5人と月1回の麻雀

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  2. 2

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  5. 5

    パワハラ告発されたJ1町田は黒田剛監督もクラブも四方八方敵だらけ…新たな「告発」待ったなしか?

  1. 6

    矢沢永吉「大切なお知らせ」は引退か新たな挑戦か…浮上するミック・ジャガーとの“点と線” 

  2. 7

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  3. 8

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 9

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 10

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは