(10)高齢者は「わからない・教えて・ごめんなさい」を忘れない
喜寿を迎えた中尾さんだが、好奇心、トライ精神はいささかも衰えを見せない。
「もちろん、うまくいかないこと、失敗することもありますよ。年をとると、失敗することを恐れるかもしれませんが、別に命をとられるようなことをしているわけじゃないでしょ。発想を変えればいいんですよ。わからないっていうこととか、失敗は学びの前段階なんだと……。その経験が自分の進化のきっかけになるんですから。
いくつになったって、わからないことはわからない。失敗だってしますよ、誰だって。でも、それは当たり前でしょ。恥ずかしいことでもないし、それは経験とか年齢も関係ない。わからなければ、教えてもらえばいいし、失敗したら“ごめんなさい”っていえばいい。たとえば、仕事で自分がNGを出したら、私は即座に“ごめんなさい、もう一度お願いします”ってやり直しをさせてもらいます。
相手が若い人だろうと関係ない。年齢を重ねると、“わからない”“教えてください”“ごめんなさい”が素直にいえなくなる人もいるけれど、私は抵抗なくそれがいえる。だから、スマホだって、わからないことがあればなんだって聞ける。時代はどんどん進んで、新しいことを覚えなきゃならないわけだし、教えてもらって覚えれば便利なことがたくさんある。“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”なんていうけれど、知らないことを知っている人に聞くことは恥でもなんでもない」