「ついこの間起こった事を忘れちゃだめだ」井上ひさしのメッセージが今の時代にぴったり当てはまる
こまつ座「闇に咲く花」(作・井上ひさし)観劇。舞台は戦後2年経った、靖国神社の近くにある愛敬稲荷神社。
主人公はその境内で拾われた捨て子だった男。神主に育てられ野球選手になるが、戦争に取られる。戦死したと思っていたらある日ひょっこり帰ってくる。記憶喪失になりグアム島で収容所にいたが、現地の人と野球をして記憶がよみがえったのだ。
しかしGHQの民間情報部員が現れ、現地の人間にピンボールを投げて脳振とうを起こさせたのが、リンチだと嫌疑をかけられ、C級戦犯として逮捕されそうになる。
彼はそのショックでまた記憶を失う。バッテリーを組んでいた親友がなんとか記憶を戻そうと努力をする。最終的な記憶は戻るが、そうなるとGHQに逮捕される。仲間たちは記憶喪失のフリをさせたまま、山奥に逃げさせようとするが、主人公はあえて警察の前で芝居をやめ、こう言う。
「ついこの間起こった事を忘れちゃだめだ。忘れたふりしちゃなおいけない」
「過去の失敗を記憶していない人間の未来は暗いよ。なぜって同じ失敗をまた繰り返すに決まっているからね」