荒木由美子さんが語る「介護する覚悟と死ぬ覚悟」義母の壮絶介護を経て芸能界復帰
黒肉腫で余命1年と宣告され…
もうひとつは私のがん宣告です。
実はお義母さんが亡くなる2年前にがんの告知を受けたんです。黒色腫で余命1年ないかもしれないと言われても半信半疑で。それで別の先生にも検査してもらったら、がんかどうかの診断が半々に分かれ、さらに偉い先生にも組織を取って診てもらったんです。でも、結局、どっちなのかわからなかった。それから1年たってなんともなくて、また検査したら、周りに黒い点々があるから手術しても助からないだろうと……。その時に私は「もういい」って言ったんです。運命で、死ぬ時は死ぬだろうと割り切ることにしました。
でも、今年も生きられたし、次の年も……という感じで。5年くらいしてから、担当してくださった横浜の医師会の先生が講演会に私を呼んでくださって、再会しました。先生は「僕たちが気づかなかったら、何もなかったのに。あなたを苦しめちゃったね、生きててよかった」と言ってくれて2人で泣きました。
あの頃はもちろん死ぬ覚悟もしました。でも、人はそこまで覚悟すると怖いものがなくなるんですね。堂々と死のうと、踏ん切りがつきましたね。
本が出版され、最初は応援してくれる人のため、1、2年は講演会を引き受けようと考えていました。ところが、最初に大きなホールでやった講演会は長蛇の列ができて、1000人以上が入った。一度、歌や女優をやめた荒木由美子が20年後にしっかり大人になって帰ってきた、その姿を見たいということだったんでしょうね。
最初の頃は6回くらい講演がある月もあって100回、200回はあっという間、これまで400回以上講演をやっています。